「幸せになるチャンスは、どこにでもあるわ。太陽と月と地球がある限り・・・大丈夫」


















#8 夢のスキマ














宇宙へと上がり、消えていく光の十字架群
地球から離れていく初号機
天地逆に落ちる水滴、広がる波紋



「もう、いいのね?」
「・・・・うん」
離れ、浮上していくシンジ。沈んでいくユイ
「幸せがどこにあるのか、まだわからない。だけどここにいて生まれてきてどうだったのかはこれ
からも考え続ける。だけどそれも当たり前のことに何度も気付くだけなんだ。自分が自分でいる
ために。でも、母ちゃんは・・・母ちゃんはどうするの?・・・・って、うおっ!!!!」
シンジの手前、沈んでいく物体
「親父・・・・・」
上半身と下半身が別れたゲンドウが沈んでいく
「キャーパパったら変な格好ー」
「おい、コラ!待て!」







必死に泳いで近くにいくシンジ
「てっめえ!どの面下げてコラ!俺はお前に言いたいことが腐る程」
ゲンドウの手を掴むシンジ
「あるんだよ!コラ!」
「シンジ」
「ああ!!」
「お前は私の誇りだった」
「お、おおう?」
驚いて手を離してしまうシンジ
「パパー久しぶりー元気してた?」
「ああ。ようやく会えたなユイ」
ゲンドウの頭を抱くユイ
「ヒトが神に似せてエヴァを造る。これが真の目的なんだな」
「そうよーヒトはこの星でしか生きられないの。でもエヴァは無限に生きていられるのよ。その中
に宿るヒトの心と共にね」
ヒゲを撫でるユイ。
甘えるようにイヤイヤするゲンドウ
「例え50億年たってこの地球も月も太陽すらなくしても残るのよ。たった一人でも生きて行けるなら。
とてもサビしいけどヒトの肉体はたくさんの記憶でできているから、一人でも一人じゃないの。生き
ていけるのよ」
「人の生きた証は永遠に残るか・・・そういう事だ。シンジ」
「そういう事ってどういう事だよ・・・・・」
「向こうに帰ってもしっかりな。お前は私達の自慢の息子だから必ずできる。身体に気をつけてな」
「シンちゃーん。元気でねー。私達いつでもあなたを導いてるから自分を信じてしっかり生き
ていきなさい。でもあんまり女の子泣かしちゃダメよ?じゃあねー」
「・・・・・・・・・・」






笑顔で沈んでいくユイとゲンドウ
ゆっくり昇っていくシンジ



赤い血の色の海の上。海面下から浮いてくるシンジ
頭を出し真顔で前方遠くを見る
海上の巨大なレイの首
真中線から2つに割れてズレている。









「さよなら・・・・父さん母さん」












#9  I NEED YOU


















オブジェと化している地上に落ちたエヴァシリーズ
夜空には満天の星
墓標らしきものが並んでいる
その奥に雲の中の巨大レイの首がうっすらと見えている
朽ちた木切れに錆びたクギで止められているミサトのペンダント
浜に打ち寄せる赤い血の色の波












夜空の星々と月






地上に横たわっているシンジと、左目と右手に包帯巻いたアスカ
何もせず触れ合わない2人の手
アスカ振り向く
シンジの胸越しに水面下に立つ、乱れた制服姿のレイが見える
ジッ見ているアスカ。レイの姿は消える
上半身を起こすアスカ。シンジを無表情で見下ろす
「ムニャムニャ綾波・・・・ムニャムニャ」
幸せそうに寝言を言うシンジ














馬乗りになってシンジの首を絞めているアスカ












「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」



「うげげっ」










襲撃





「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる・・・」




力いっぱい首を絞めるアスカ
もがくシンジ。わずかに手を上げ、アスカの頬を撫でる。
優しそうに動くシンジの手
力が抜けていくアスカの手
うなだれて、か弱く肩を震わせるアスカ
シンジの頬に落ちる涙
糸が切れたようにシンジの胸に倒れこむ


アスカの痛んだ髪を梳く









「アスカじゃないとダメなんだ」
「気持ち、ワルイ」











終劇

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