「じゃあ。俺の夢はどこ?」
「それは現実の続き」
「俺の現実はどこ?」
「それは、夢の終わりよ」























#7. Everything you've ever dreamed    (閉塞の拡大 リテイク)














溶け合って漂うレイとシンジ



「綾波?ここは?」
「ここはLCLの海。生命の源の海の中。ATフィールドを失った。自分の形を失った世界。どこまでが
自分でどこからが他人なのか分からない。曖昧な世界。どこまでも自分でどこにも自分が居なく
なっている脆弱な世界」
「・・・・・俺は死んだの?」
「いいえ、全てが一つになっているだけ。これがあなたの望んだ世界・・・そのものよ」
「綾波、好きだよ。大好きだよ」
「私も。碇くん・・・・・」



狂おしく求め合う2人






レイ「でも、これは違うの・・・違うと思うの」
シンジ「他人の存在を今一度望めば。再び、心の壁が全ての人々を引き離すよ。また俺は綾波と離れ
離れになる。また嫉妬の恐怖が始まるよ」
レイ「イヤ・・・・・・・・・・・」
シンジにしがみつくレイ
シンジ「綾波、俺お前を幸せにできなかった。側にいてやれなかった。だからこれからはいっぱい幸せにする」
レイ「私は碇くんと一緒にいられて嬉しかった。碇くんの側にいる時はひとりの女の子でいられた」
シンジ「綾波、初めて会った時から知ってたよ。君は天使だって。ああ綾波!俺だけの天使!」
レイ「ダメよ・・・・碇くんはあの子の側にいてやらなきゃ。あの子が待ってるわ」
シンジ「アスカとはイヤな事しかなかった気がする。だからきっと、逃げ出しても良かったんだ。
だって・・・綾波がいないもの。誰もいないのと同じだもの」
レイ「ダメよ、碇くん、わがまま言って・・・・・・・・・」
シンジ「わがまま言って綾波をもっと困らせたい。ハァハァ。綾波も一緒に帰ろう」
レイ「それはダメ。惣流さんは私を憎んでる。私も惣流さんが憎いと思っているの」
シンジ「アスカが俺を好きだから?」
レイ「いいえ。碇くんが惣流さんを愛しているから」
シンジ「そんなことない!俺は綾波だけを選ぶ!だから・・・・」







カヲル「再びATフィールドが君や他人を傷つけてもいいのかい?」
再び制服姿で向かい合うシンジとレイ、カヲル
シンジ「・・・・・・・・・・・・・・・そんなのは恐れない。俺はバカだから。どんなに傷ついても好きな女を精一杯
好きでいることしかできないバカシンジだから。でもどうして綾波はこんなバカな俺の心にずっといて
くれるの」
レイ「希望なのよ。ヒトは分かりあえるかもしれない、ということの」
カヲル「好きだという言葉と共にね」
シンジ「だけどそれは見せかけなんだ。自分勝手な思い込みなんだ。祈りみたいなものなんだ。ずっと
続くはずないんだ。いつかは裏切られるんだ。俺を見捨てるんだ・・・・でも俺は、うう・・・もう一度・・・
会いたいと・・・思った・・・うう、その時の、気持ちは・・・」



みんなとの思い出が蘇る



シンジ「本・・・・当だと、お・・・」
膝をつき泣き出すシンジ
駆け寄って抱きとめるレイ。励ますように背中を撫でてあげるカヲル
シンジ「お、俺泣いても、いいよな?悲しいもの。悲しくて、どうしようもないよ。こんなお別れってないよ」
嗚咽するシンジ
涙を優しく舐めとってあげるレイ
レイ「碇くん・・・」
カヲル「何も恐れることはないんだよシンジくん」






崩れていく巨大レイ。ズルッ落ちる首。地上に立ち込める血煙の中へ落下していく。
地表に林立している光の十字架。落ちていく巨大レイの残骸



カヲル「現実は知らないところに。夢は現実の中に」
レイ「そして真実は心の中にある」
カヲル「ヒトの心が自分自身の形を作りだしているからね」
レイ「そして新たなイメージがそのヒトの心も形も変えていくわ。イメージが想像する力が自分たちの
未来を時の流れを作りだしているもの」
カヲル「ただヒトは自分自身の意志で動かなければ何も変わらない」
レイ「だから見失った自分は自分の力で取り戻すのよ。例え自分の言葉を失っても
他人の言葉に取り込まれても。自らの心で自分自身をイメージできれば
誰もがヒトの形に戻れるわ」
ユイ「心配ないわよ。全ての生命には復元しようとする力がある。生きていこうとする心がある。生き
ていこうとさえ思えばどこだって天国になるわ。だって生きているんですもの。
シンジ「ババァてめえ何最後の最後にやってきてまとめようとしてんだよボケ!
てめぇのマッドサイエンティストぶりのおかげでみんなさんざんな目に合ったんだぞ!どうして
くれんのよ!!俺の平穏な人生を返せ!」






ユイ「ム、何よシンちゃんお母さんに向ってなんて口の聞き方すんの!」
シンジ「うっせーよ!そもそもお前が元凶なんだろが!人類補完計画とかなんかしらねえが、人類滅ん
でんだぞコラ!なんだ!神にでもなったつもりか!聖母にでもなりたいのか!人類オカン計画とでも
言いたいのか!」
ユイ「あらー最悪のセンスねー。誰に似たのかしらー」
シンジ「黙れ!ふざけんな!お前のせいでアスカは・・・・」
ユイ「セカンドのことなら仕方ないよ・・・彼女がバカだったんだ」
シンジ「もう一度言ってみろ!前歯全部折ってやる!」
ユイ「おお怖い。誰に育ててもらったと思ってんの?」
シンジ「お前育ててねえだろうが!」
ユイ「シンちゃん!めっ!いい加減にしなさい!」
カヲル「叱ってくれる親、母親がいるという事実は幸せに繋がる。良いことだよ」
シンジ「お前は黙ってろ!母ちゃんのせいで、みんなみんな・・・・うう」
レイ「碇くん。落ち着いて。私、見失った自分を自分の力で取り戻す。例え今の自分を失っても、他人の
身体に取り込まれても。自らの心で自分自身をイメージして碇くんの元へ行くわ。必ず、再びアナタの
元へ行くわ。どんな形になってでも誰よりも碇くんの近くに、行くわ。碇くんと愛し合うために」
シンジ「綾波」
ユイ「もてるなーシンちゃん。このこのー」
シンジ「てめえは黙ってろ!」
レイ「碇くん」
シンジ「綾波・・・うん、俺も待ってる。俺もずっと綾波のことイメージする。ずっとずっと待ってるよ」
レイ「うん。待ってて。もう別れ際にサヨナラなんて言わない。必ず、絶対、碇くんと幸せになる」
ユイ「幸せになるチャンスは、どこにでもあるわ。太陽と月と地球がある限り・・・大丈夫」



つづく

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