「表層部の熱は引きました。高圧蒸気も問題ありません」
「全部隊の初期配置完了」
「現在ドグマ第3層とムラサキの奴は制圧下にあります」
「アカい奴は?」
「地底湖水深70にて発見。専属パイロットの生死は不明です」












#6 退行への緊急避難














振動で目を開けるアスカ
「・・・・・・・生きてる」
エントリープラグ内振動が続く






爆弾の波状攻撃
「ひゃぁっ!」
あまりの痛さに頭を抱え込むアスカ



「死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・
死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・
死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・」



{まだ生きていなさい}
{まだ死んではダメよ}
{殺さないわ}
{まだ死なせないわ}
{死んでちょうだい一緒に}






「死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・
死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・
死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・死ぬのはイヤ・・・・・」



アスカの死のイメージ
死体に集まっている無数の蝿。さまざまな死やアスカの記憶のフラッシュバック
恐怖に目を見開くアスカ、頭を抱えて激しく拒絶
打ち寄せる波






「死ぬのは、いやぁああああああああああああああああああ!!」






優しい母のイメージ
「ママ、ここにいたのね」



力一杯伸ばしてくる幼いアスカの手
母の手がゆっくりとアスカの手を握る
「ママッ」




再び光が点る弐号機の4つのカメラアイ







ジオフロント内地底湖。停泊しているフリーゲート艦
艦の真下より一条の光が広がって光の柱になり艦が包まれていく
「こ、これは」
「やったか!?」



滝のように流れ落ちる水を受けて水中からググググッと艦艇を持ち上げる弐号機
艦首と艦尾が次々に折れる。発射されるミサイル!
反応する弐号機すかさず持ち上げてフリーゲート艦の向きを変える
ミサイルの飛んでくる方向に艦を掲げたのでミサイルは甲板に着弾。上物の吹き飛ばす!
「ドおうりゃあああああああああああああああああああああ!」
振りあおるアスカ、完全復活



戦自ミサイルをなぎ倒していく弐号機
「ママ、わかったわ。ATフィールドの意味!私を護ってくれてる
私を見てくれてる!ずっとずっと一緒だったのね!」



「エヴァ弐号機起動!アスカは無事です生きてます!」
「アスカが?」
「アスカ」の名前にわずかに反応するシンジ





戦車、順に発砲。撃ち込まれる砲弾、ビクともせずに歩いてくる弐号機
はね返される砲弾
「ケーブルだっ!!奴の電源ケーブルっ!そこに集中すればいい!」
歩いてゆく弐号機。後方で次々と土柱が上がる
切断されたケーブルが宙に舞う
ピー
内臓電源に切り替わりカウントが始まる
「ちっ」
不適に笑いだすアスカ
「アンビリカルケーブルがなくったって、こちとらには1万2千枚の特殊装甲と」
直撃を浴びながらも前進する弐号機
「ATフィールドがあるんだから!」
空間を切り裂くように左手を振る弐号機
次々と爆発するVTOL
「負けてらんないのよ!あんたたちにぃ!」
戦自航空編隊を倒す
炎に包まれ照り返しを受ける弐号機







「忌むべき存在のエヴァ。またも我らの妨げとなるか
やはり毒は同じ毒をもって制すべきだな」



雲を抜けるエヴァ輸送用巨人機
ダミープラグが打ち込まれる
巨大な翼を広げ滞空するエヴァシリーズ
「エヴァシリーズ・・・完成していたの」



「S2機関搭載型を9体全機投入とは大げさすぎるな・・・
まさか、ここで起こすつもりか」
着地するエヴァシリーズ
一面に広がった翼がバサリと折りたたまれる














#7 魂のルフラン













薄暗いバイブスペース
壁に激突したまま破棄されているミサトの車
車によりかかって携帯でアスカに指示するミサト
隣で銃を突きつけられタバコ吸ってるシンジ
「いい、アスカ。エヴァシリーズは必ず殲滅するのよ」
「お前何言ってんだよ!アスカ!投降しろ!殺されるぞ!勝てっこねえって!アガガッ」
口内に銃を突っ込まれ、あがくシンジ
「シンジ君もすぐに上げるわ、頑張って・・・・で初号機へは非常用のルート20でいけるのね」
{はい。電源は3重に確保してあります。3分以内に乗り込めば第7ケイジに直行できます}
立ち上がるミサト
咥えタバコのシンジの後頭部に銃を押し付け進み出す








周りをエヴァシリーズに囲まれている弐号機
「必ず殲滅、ね」
左右に敵にも目配せしながら軽口叩くアスカ
「ミサトも病み上がりに軽く言ってくれちゃって」
カウンター3分30秒台
「残り3分半で9つ。1匹につき20秒しかないじゃない」
レバーを思いっきり押し込む!
「うりゃああああああああああああああ」

モニターにあふれる血
エヴァシリーズ 一体目、撃破
「erst!」





吹き抜けの渡り廊下
ミサト無理矢理シンジを連れて行く
非常用エレベーターの表示
「ここね」
見上げるミサト
突然発砲音、咄嗟にシンジをかばうミサト
「ウッ」
右わき腹あたりに着弾あったかのようにのけぞるミサト
激しい着弾の中、シンジを庇いながらドアへ駆け込む
シンジ、一瞬後ろ手で何かを投げる
2重ドア閉まる。直後にロケット弾がドアに打ち込まれる。
爆煙いっぱいから下方フロアの戦自兵の姿
「逃がしたか」
「目標は射殺できず。追跡の是非を問う」
「追跡不要。そこは爆破予定地だ。至急戻れ」
「了解・・・・・・・・ん?」
つま先に転がってきたモノに気付く戦自兵
「しゅ手榴弾だ・・・うあああ!」
手榴弾爆発







「これで、時間、稼げるわね」
押さえた脇腹から血が滲んで、大きく息をしているミサト
生気の無い表情でボンヤリ見ているシンジ。
「大丈夫・・・・・・・・・・たいしたこと、ないわ」
壁によりかかりながら立ち上がるミサト
タバコに火を点けるシンジ
非常用のエレベーターのスイッチを押すとドアが開く
「電源は生きてる。いけるわね」
覆い隠すように金網を掴むミサト
追い詰められるシンジ














#8 身代わりの侵入















「いい、シンジくん。ここから先はもうあなた一人よ。全て一人で決めなさい。誰の助けもなく」
「もう無理だって。包囲されてんだぞ?持久戦に持ち込まれたら終わりじゃん。
もうダメなんだよ・・・ヒトを傷つけてまで殺してまでエヴァに乗るなんて・・・なんの意味もない。
俺はエヴァに乗るしかないと思ってた。立場を利用して上手い汁を吸ってもいいんだと思ってた。
でもそんなのゴマかしだ。ヒトを幸せにできない俺にもうエヴァに乗る価値もない。
俺にはヒトの為にできることなんて何もないんだ。好きなヒトを幸せにすることなんてできないんだ。
綾波に大好きって言いながらアスカと結婚するつもりだったんだ。ヒカリにもマヤさんにも・・・・。
リツコさんと親父のスクープ写真、週刊誌に売り込んだんだ。更衣室にもカメラを設置してたんだ。
みんなの着替え映像も撮影してたんだ。ミサトの使用済みの下着も売ってたんだ。
秘蔵の勝負下着にも前後に穴を開けたんだ。優しさなんてかけらもないズルくて変態なだけだ。
俺にはヒトを幸せにすることなんてできないんだ。だったら何もしない方がいい!!!!!」
ウンザリした顔で額を押さえるミサト
「・・・同情なんてしないわよ。自分が傷付くのがイヤだったら何もせずに死になさい」
うつむいて嗚咽するシンジ
「今、泣いたってどうにもならないわ」
と言いつつも本当に泣いてるのか疑うミサト。しかし次第に物悲しい哀れむような表情になる
「ただのバカだと思ってたわけじゃないけど・・・自分が嫌いなのね。だからヒトも傷付ける。
自分が傷つくよりヒトを傷つけた方が心が痛いことを知っているから
でもどんな思いが待っていてもそれはあなたが自分一人で決めたことだわ。価値のある事なのよシン
ジ君。あなた自身のことなのよ。ごまかさずに、自分にできることを考え、償いは自分でやりなさい」
「都合のいい時だけ保護者ぶって!!!!!ミサトだって澄ました顔して何度も俺に抱かれたクセに!!!!!
中学生のガキのチンポ咥え込んで喜んでたパイパンの淫乱マンコのクセに!!!!!!!」
「淫乱マンコだからどうだってえのよっ!!!!!!!!!」
内ドアに叩きつけられ、股間にヒザ蹴りを喰らって呻くシンジ




「あんたさんざん私と寝て、さんざん私の体楽しんで、さんざんやめろって言ってるのに中出ししてた
クセに。このままやめるつもり!?今、ここでなにもしなかったら、私、許さないからね・・・・・・・・・・・・・・
一生許さないからね!!!!!!!!!!」
首を締めるミサト
「うう・・・・お前だってさんざんヨダレ垂らして喜んでたじゃねえかよ。うげっ」
首を締める力をさらに加えるミサト
「今の自分が絶対じゃないわ。後で間違いに気づき、後悔する、私はその繰り返しだった。
ヌカ喜びと自己嫌悪を重ねるだけ、でもその度に前に進めた気がする。
それに私は同情や仕事の上だけで抱かれるような割り切れる人間じゃないわ。
アンタは予想を遥かに越えるバカだったけど、楽しかったし優しかった。好きだったから抱かれたの。
後悔なんてしてないわ」
いつしかミサトの手は包み込むような優しい手になっている
「いい、シンジ君。もう一度エヴァに乗ってケリをつけなさい。エヴァに乗っていた自分に
なんの為にここに来たのか、なんの為にここにいるのか、今の自分の答えを見つけなさい。
そして、ケリをつけたら必ず戻って来るのよ。下着のことは怒ったりしないから。
素敵だった、私が大好きだったアナタに戻って・・・」
ペンダントを外しシンジの手に渡すミサト
「約束よ・・・」
「・・・・・・うん」
「いってらっしゃい」



                  _,....‐:''´ ̄`ヽ、
            ,r:':´:.:.:;:;:;ヽ;:;:;:;:;:;:;:ヽ
          , ‐'´:.:.:;:;:;|レfヽ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ヽ、
   ,ィ _. ‐ ' Z-ヶ:.:.;:;:l;:;:;ル|!゙ケハ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\
  ノ::´::::::::::::::ヾヘ、;:;:リヾ`   〈. |:.;:;:;:;:;l;:;:;:;:;:;:;:;:;:\
/:::::::::::::::::::::::::::::::<レ゙,     i |:.l:;:;:;:;l:;i;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:`;: ー;.-. 、 _
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 ' ーz, \ `¨      ヽl    !;:;:;くヾノク:|:l:.:.:.;-‐‐ ァ:::::::::::lヽハ;ヘ;:;:;:;:;:;:;:ヾ
   l ̄`ヽ`        {ヽ   l:;i:;:;:;`i:/:::|ッ:.:'"ヽ./フ:::::::/:::::::::::}/|:;/!/\
  <--一 、` ー- 、  ,/',ヽ l:;|;|:;:;:;:;〉:::/:.:.:.,、-‐'":::::::::/::::::::::::::::::'´:::::::::::::\
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 /  ,..   、_ (  ``'ァ',   ヽ\ゝ/:.:.:.:.:.:,:-‐'´::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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l  l       | i   {  ',  /:/:」:::::ヽ.:.:|^::::::::::::/:::::::::::::::::i:`┐:::::::::::::::::::::::::/



口づけるミサト
左手で胸を触り右手を股の間に忍ばせるシンジ
「元気ね・・・帰ってきたらまた私を抱いて、幸せにさせて・・・・」
突然、背後で内ドアが開き、支えがなくなって倒れ込むシンジ
「おいミサト!」
そしてドアが閉まる。エレベーターは降りてゆく
壁に寄りかかったままズズと下がるミサト。壁に血痕を残して倒れる
「こんなことならアスカの言う通り下着類を金庫に入れておけば良かった。
ねぇペンペン。でも楽しかったよね、あのバカ。加持くん。私これで良かったわよね・・・」
最後の力でわずかに顔を上げる
白く光るレイが見下ろす
直後、床がめくれあがって爆発。火球に包まれるミサト






エレベーター内で涙でグチャグチャになった顔を両手で拭うシンジ
ふと顔を上げる。左手を見て唇についていた血に気付く。
右手についた愛液と共にそれを顔中擦りつける。
「また俺を一人にしやがって・・・・・・・・」
涙が止まらない。泣き崩れる。












#9 管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068~第2曲アリア















「ぬうわあああああああああああああああああ!」
エヴァシリーズと闘う弐号機、アスカ
「もう、しつこいわね!バカシンジなんて当てにできないのにっ!!」



ケイジ前、溶けて固まったろう細工のようなベークライト
ベークライトに埋まってるボート
「出撃できないじゃん・・・・」
シンジボーゼン
ベークライトに埋まっている初号機
「後で間違いに気づき、後悔する、その繰り返しだった人生。
ヌカ喜びと自己嫌悪を重ねるだけでも前に進めた気がした・・・のかもしれんが
ちゃっかり人に迷惑かけてんのね・・・ミサト、お前はイイ女だったが
やっぱ無能だわ」
うすら笑いをうかべながらペンダントに口づける。
力無くベークライトを掘り起こし始める
「でもだからこそ愛おしい」






ターミナルドグマ
張りつけにされたリリスの前、見上げているゲンドウとレイ
「お待ちしておりましたわ」
縁にたたずむ白衣のリツコ。ゆっくりと立ち上がる
白衣のポケットからスッとリボルバーを取り出し銃口をゲンドウに向ける
「ごめんなさい。あなたに黙って先程、マギのプログラムを変えさせてもらいました」
空を仰ぎつぶやくリツコ
「娘からの最後の頼みよ。おばあちゃん、シンジくん、一緒に死んでちょうだい」
ポケットの中でスイッチを押す
目を閉じてその時を待つリツコ

「作動しない?何故?」
ポケットからPDAを取り出す
カスパーが否定を点滅させている
「カスパーが裏切った?おばあちゃんは娘と孫より自分の男を選ぶのね・・・・」
銃をリツコに向けるゲンドウ
「赤木リツコくん、ほんとうに・・・・・・・・・・・」
「・・・ウソつき」






銃撃戦の発令所
「外はどうなってる!」
「活動限界まで1分を切ってます!このままじゃアスカは!」



カウンター47秒台
「ぬぅあああああああああああああああああああああ!」
闘う弐号機アスカ
「負けてらんないのよ!」



初号機のベークライトを剥がしているシンジ
スピーカーからアスカの声が聞こえる
「ママが見てるのに!」
「ガキみたいにママ、ママ言ってるんじゃねえよ・・・・・・・・」
フッと気付いて見上げるシンジ。たたずむ初号機
「ハハ、俺たちまだ中学生だったなアスカ、忘れてたよ・・・こんなことになっちまってよ
オヤジも俺もたくさんみんなを傷つけた。報いを受けるべきかもな・・・・」





つづく

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