『存在理由、レゾンデートルここにいても、よいりゆう』
  『碇シンジ、彼の場合』
  『少年は自ら死を願った少年はその希望を叶えた』
  『最後の使徒は消えた』
  『何故殺した』
「あなたもしつこい人ですね古畑さん。確かに私は殺しましたよ。ただし使徒をね
もしアレを殺人だと言うなら、使徒が人間だと証明してみて下さい。科学的にではなく、法的にね
私は忙しいんだ。失礼します」

「えー今回の事件ほど厄介な事件はありませぇん。
わかっているのは渚カヲルという名の少年が死んだという事
それにエヴァンゲリオン初号機パイロット碇シンジが深く関わっているという事
それだけですぅ。
わからないのは被害者である渚カヲルが本当に人間だったのか。
使徒だったのか?使徒とは何か?人間とは何か?
えー残念ながらこれを証明する事は私にはできません。
他にも人類補完計画など、問題が多すぎますぅ。
しかも関係者は誰も捜査に協力してくれません。上からの圧力もかかりました
えー正直言ってもう私の手には負えません。降参ですぅ・・・・・・・・・
えーですからここから先、補完への道はみなさんの手に委ねたいと思います。
よろしいですか?んっふっふっふ……逃げちゃダメだ・・・・古畑任三郎でした」

第弐拾伍話 終わる世界



『CASE1 葛城ミサトの場合(PART1)』
ミサト 「ここは?」
シンジ 「パイパンさんの心の中にいる、俺の心ですよ」
ミサト 「パイパン言うな!!!!同時に、シンジ君の中にいる私の心というわけね」
シンジ 「俺は俺を見つける為にいろいろな人と触れ合わなければいけない。俺の中を見つめなければ
いけない。俺の中のミサトさんを見つめなければいけない。パイパンさんは何を願うの?」
ミサト 「・・・良い子にならなきゃいけないのパパがいないから。ママを助けて私は良い子にならなきゃ
いけないの。でもママの様にはなりたくない。パパがいない時、ママは泣いてばかりだもん。泣いちゃ
ダメ。甘えてはダメ。だから良い子にならなきゃいけないの。そしてパパに嫌われないようにするの
でも父は嫌い。だから良い子も嫌い。もう嫌い。もう疲れたわ。きれいな自分を維持するのに、きれいな
振りを続けている自分に、もう疲れたわ。私は汚れたいの。汚れた自分を見てみたかったのよ」
リツコ 「だから抱かれたの?あの子に」
ミサト 「違う、好きだったから抱かれたのよ」
「本当に好きだったの?」
ミサト「最初は口説いてくる姿がかわいいから、戯れにキスしてあげたら、腕の中で照れるあどけない
顔がかわいかったから。仕事への打算と性の手ほどきのつもりで・・・優位に立ちたかったのよ。
女としてあの子を夢中にさせたかったのよ。だけどサルベージされたあの子は凄かったのよ!
今までのがなんだったのって思うくらい凄かったのよ!」

『本当に?』
ミサト 「失神したのよ。何度も。いや、やめてこんなところアスカに見せないで」
シンジ 「今更恥ずかしがることもないだろ」
ミサト 「恥ずかしいわよ」
  「どうして恥ずかしいの?好きな男の前では平気で、むしろ喜んでこんな格好をしているくせに」
ミサト 「いや、やめて」
  「このありさまをアスカに見せることが、本当は嬉しいくせに」
ミサト「嘘よ。違う、違うわよ」
  「あなたはシンジ君の腕の中に、快楽を求めていたのよ」
ミサト 「でも本当に気が狂いそうな程、何もかも吹っ飛んでしまうくらい気持ちよかったのよ」
シンジ 「ま、セフレの始まりに理由はないが、終わりには理由があるってことだな」
ミサト 「いやらしいのね、シンジ君。その凶悪なペニスでお願い、私をイカせて」

シンジ 「今、自分が嫌いだからって傷付けるもんじゃない。刹那的な罰を与えて、自分をごまかして
いるだけだ」
ミサト 「で、自分を大切にしろって言うんでしょ。それでやっぱり若い娘を選ぶんだわ男はみんなそう。
本当はアスカが出て行って安心したの。レイが死んで安心したの。これでシンジ君を独占できるって・・
時々自分に絶望するわ。嫌になるわよ!」
マヤ 「不潔、汚いわ」
リツコ 「不様ね」
アスカ 「いやらしい、汚らわしいわ。アタシがいないところでそんな事してたなんて反吐が出るわ」
日向マコト 「ご昇天おめでとうございます、葛城三佐」
ミサト 「私は幸せなの?」
シンジ 「SEXをいやらしいものだと思っているのは君の心だ。愛し合うって素晴らしい事じゃないか」
レイ 「不安なのよ」
リツコ 「シンジ君が隣で寝ていないと」
アスカ 「一人で寝るのが怖い?」
マヤ 「やっぱり、一人で寝るのが寂しいんですか?」
加持 「心の喪失に耐えられないんだよ」
日向マコト 「だから巨根がいいんですね?」
ミサト 「違う。最高の快楽に溺れたいだけ。その為にシンジ君を独占したいのよ
どうせ私を選んでくれるはずも一緒になることも子供を作ることもできないのに」
『彼女は果たして、何を望むのか?』

『CASE2 惣流・アスカ・ラングレーの場合(PART1)』
アスカ 「ここはどこ?」
シンジ 「アスカの中にいる俺の心だよ」
アスカ 「イヤだな私またシンジの事考えてる。私に優しいシンジを心の中で描いてる」
シンジ 「アスカは何を願うの?」
アスカ 「私は一人で生きるの。パパもママもいらない、一人で生きるの。私はもう泣かないの
でも、まだ泣いてる、なぜ泣いてるの?シンジがファーストと仲良くしてるから。私はいらない人間なの
自分から好きになるのができないの。片思いなんてイヤだもん。遊ばれるのが怖いの」
レイ「人を愛することが怖いのね」
アスカ「好きでいてくれないのが怖いの。シンジに負けたくないの。弱かったら頼ってしまうから
弱かったら捨てられてしまうから。対等でいたいの。追いてかれないよういつでも側にいられるように」
レイ 「自分の中にシンジ君を求めているのね」
アスカ 「うるさい」
  『分離不安』
レイ 「一人になるのが怖いんでしょ。碇くんに捨てられるのが怖いんでしょ」
アスカ 「だからエヴァに乗ってる。でも勝てなかった。だから私には価値がないの」
シンジ「エヴァに乗れなくてもアスカの事好きだよ」
アスカ「ウソ!エヴァに乗らなくなったらシンジはファーストのモノになってしまう
ミサトのモノになってしまう。私だけを見てくれない!嫌い嫌いシンジなんて大ッ嫌い」

ミサト 「あの子、苦手なんです」
シンジ 「なんだ、弱気とは作戦課長の君らしくないな」
ミサト 「作戦課長も人間ですのよ、前にも言いましたけど」
シンジ「しかし、君のような大人の女性が子供相手に」
ミサト 「妙に大人で、張り詰めた絶対的な拒絶があって、時々怖いんです。あなた、そう感じたこと
ありません?」
シンジ 「いや。とにかく君はアスカの保護者になったんだ」
ミサト 「その前に、私はあなたの女になったのよ」
シンジ 「同時にだろう?」
ミサト 「ええ、社会的立場からはそうですわ。あなたはあの子の同級生をやめられないけれど、
私はいつでもあの子の保護者をやめることができますもの」
シンジ 「それはそうだな」
アスカ 「私は邪魔なの?いらないの?」
加持 「一緒に死んでちょうだい」
アスカ 「いやっ死ぬのはイヤ。自分が消えてしまうのもイヤ。シンジもイヤ、ミサトもファーストもイヤ、
みんな嫌なの。誰も私のこと守ってくれないの。一緒にいてくれないの。でもシンジのことを考えて
しまうの。体が火照ってくるの。だからその熱を憎しみに代えるの。私だけを見てくれないシンジへの」
『彼女は何を望むのか』
アスカ 「だから一人で生きるの。でも嫌なの。つらいの。一人はイヤ、一人はイヤ、一人はイヤッ」

『CASE3 綾波レイの場合』
レイ 「私は誰?」
「綾波レイ」
レイ 「あなたも綾波レイなの?」
「そう。綾波レイと呼ばれているもの。みんな、綾波レイと呼ばれているもの」
レイ 「どうしてみんな私なの?」
「他の人たちがみんな、私たちを綾波レイと呼ぶからよ。あなたは偽りの心と体をなぜ持っているの?」
レイ 「偽りではないわ。私は私だもの」
「いいえ、あなたは偽りの魂を碇ゲンドウという人間によって創られたヒトなのよ。人の真似をしている
偽りの物体に過ぎないのよ。ほらあなたの中に暗くて何も見えない何もわからない心があるでしょ。
ほんとうのあなたがそこにいるの」
レイ「私は私。これまでの時間と他の人たちとの繋がりによって私になったもの。他の人たちとの
ふれあいによって今の私が形作られている。そして私の中の暗くて何も見えないところは
碇くん専用なの」
『それが、絆?』
レイ 「そう、綾波レイと呼ばれる、今までの私を作ったもの。これからの私を作るもの。碇くんだけの
女になるの」
「でも、本当のあなたは他にいるのよ。あなたが知らないだけ見たくないから、知らないうちに
避けているだけ」
『怖いから』
「人の形をしていないかもしれないから。今までの私がいなくなるかもしれないから」
『怖いのよ』
「自分がいなくなるのが怖いのよ。みんなの心の中から消えるのが怖いのよ」
レイ 「怖い、わからないわ」

「自分だけの世界もなくなるの」
『怖いでしょ?』
「自分が消えるのよ」
『怖いでしょ?』
レイ 「いえ、嬉しいわ。最初は痛いかもしれないけれど。碇くんに愛される痛みを味わえるの。
痛みを刻みこむの。幸せなの。碇くんの『男』の部分を私の 『女』の部分で受け止めるの。碇くんの
欲望を受け止めることができる。 碇くんが私で気持ちよくなってくれれば私は死んでも構わない」
  「でも駄目。あの人が許してくれないの」
レイ 「あの人が必要だから私はいたの。でも終わり。いらなくなるのはヒゲ。
私に捨てられるの、ヒゲ眼鏡」
ゲンドウ 「さあ行こう。今日、この日の為にお前はいたのだ、レイ」
レイ 「大きなお世話よ。変態ヒゲオヤジ」
ゲンドウ「な・・・人のことを変態とか言ってはいかん」
レイ「だってアンタ変態でしょ」
ゲンドウ「レイ!!」
レイ「この私がそう言ってるのよ。変態ヒゲオヤジはしつこい変態ヒゲオヤジは用済み変態ヒゲオヤ
ジはしつこい変態ヒゲオヤジは用済み変態ヒゲオヤジはしつこい変態ヒゲオヤジは臭い変態ヒゲオ
ヤジはキモい変態ヒゲオヤジは臭い変態ヒゲオヤジはキモい変態ヒゲオヤジは臭い変態ヒゲオヤ
ジはキモい変態ヒゲオヤジは臭い変態ヒゲオヤジはキモい変態ヒゲオヤジは臭い変態ヒゲオヤジは」
ゲンドウ「レイ!!!!やめてくれ!!!レイ!!!!!!!」
『彼女は果たして、何を望むのか?』

『CASE4 洞木ヒカリの場合』
ヒカリ 「ここはどこ?」
シンジ 「ヒカリの中にいる俺の心だよ.ヒカリは何を願うの?」
ヒカリ「私が願うのは平穏。何気ない単調な、でもかけがえのない日常。楽しかった文化祭の演劇
{天空の城ラピュタ}鈴原パズー格好良かったな。相田モウロ将軍のアホ面も心底ウンザリだったし
アスカドーラも40秒で決まってた。綾波さんはかわいいロボット兵だった。でもなによりシンジムスカは
国が滅びたのに、王だけ生きてるなんて滑稽だった。楽しかったな。あんな風に何気ない学校生活を
送りたいの」
アスカ「嘘ね」
ヒカリ「え!」
アスカ「そんなの、ただの依存、共生関係なだけじゃない。ようするにヒカリシータは鈴原パズーとシン
ジムスカを競わせて喜んでいるのよ。淫乱で欲深い女なのよ。ホントはあのままシンジラピュタ王と
一緒に天空の城で暮らしたかったんでしょ」
ヒカリ「違う!」
シンジ「私をあまり怒らせない方がいいぞ!当分二人きりでここに住むのだからな」
アスカ「私、知ってんのよ?鈴原パズーを殺したシンジムスカに乱暴に抱かれる自分をオカズにしてる
こと。ほらいつもみたくやってみなさいよ・・・ここで見ててあげるからさぁ」
ヒカリ「いや!やめて!」
シンジ「あっはっは、見ろ人がゴミのようだ!!はっはっはっは・・・」
ヒカリ「土から離れては生きられないのよ!!!でもいつまでも少女ではいられない。危険な悪の魔力
シンジムスカにさらわれたい。2人で世界を支配したい。先日、放課後の教室で碇くんにファーストキス
奪われたの。あの日私は世界を手に入れたの。碇くんに包まれて幸せだった・・・でも怖いの、碇くんの
ために人殺しまでしてしまいそうな自分が。それに碇くんは私の手の届かない所へ行くもの・・・」
シンジ「ラピュタは滅びぬ。何度でも甦るさ!ラピュタの力こそ、人類の夢だからだ!!」
アスカ「やっぱりヒカリもシンジを好きだったんだ・・・ううん、悪いのはアイツ全部アイツよ。ヒカリ、
落ち着いてよく聞くんだ。・・・あの言葉を教えて。・・・私も一緒に言う」
シンジ「へぁぁぁーー、はぁぁ、目がぁー!目がぁーーぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ヒカリ「ここはお墓よ。私と碇くんの」
『彼女は果たして、何を望むのか?』

葛城ミサト 「私を捨てないで」
惣流アスカ 「私を好きになって」
綾波レイ「私を奪って」
洞木ヒカリ「私をさらって」

シンジ 「これは何?」
ミサト 「あなたのお父さんが進めていた、人間の補完計画よ。別名{碇ゲンドウのラブラブ
ハーレム計画}その一部らしいわ。でもシンジ君が乗っ取ってしまったの」
シンジ 「マジかよ親父・・・・・哀れすぎる」
アスカ 「たくさんある事実、その中のひとつよ」
ミサト 「あなたの性欲が望んだ結果なのよ」
シンジ 「俺が望んだ?」
レイ 「そうよ。破滅を、誰も救われない世界を」
シンジ 「違う、誰も幸せになってないじゃないか!!!!!!!!」
リツコ 「誰もあなたを救えないわ」
アスカ 「破滅的な欲望の世界を。あなた自身が望んだのよ」
加持 「閉鎖された自分一人が心地いい世界を、君は望んだ」
日向マコト 「自分の弱い心を守る為に」
青葉シゲル 「自分の快楽を守る為に」
マヤ 「これはその結果に過ぎないわ」
ミサト 「閉塞された空間では、あなた一人の世界では、人は生きていけないの」
アスカ 「でもあなたは世界の、自分を取り巻く世界の閉塞を願った」
リツコ 「嫌いなものを排除し、より孤独な世界を願ったのはあなた自身の心」
レイ 「それが導き出された小さな心のやすらぎの世界」
アスカ 「この形も終局の中のひとつ」
ミサト 「あなた自身が導いた、この世の終わりなのよ」

『そして、補完への道は』
 
つづく

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