部屋に篭りつづけるミサト
家に戻らないアスカ
「ポートピア連続殺人事件」をプレイするシンジ
メールを送信{アスカ、どう?}

メールを返信{学校にも行かず家にも帰らず、ずっと家でゲームばっかり}
「ヒカリ」
「な、なに?」
「ロンダルキアの洞窟ってなんで落とし穴がこんなに」
「も、もう寝ようよ」
「じゃあふっかつのじゅもんを」
「つ、つけっぱなしでいいから」
一緒に眠るアスカと委員長
「ごめんね、アタシ邪魔かな」
「そんなことないわよ」
ほんとはそろそろ欲求不満になっていた委員長
「アタシ勝てなかったんだエヴァで。もうアタシの価値なんてなくなったの、どこにも」
碇くんに飽きられたのかなと勘ぐる委員長
「嫌い大嫌い。みんな嫌いなの。でも一番嫌いなのはアタシ」
碇くんに捨てられたのかな、期待半分、罪悪感半分の委員長
「なんかもうどうでもよくなっちゃったわ」
「アスカ・・・今の私にできるのはこのくらいしかないわ」
アスカに迫る委員長
「やめてよ!やめてよヒカリ・・・」
すすり泣くアスカ
「ご、ごめんなさい」
(さびしいはずなのに。男じゃないとダメなのかしら・・・いえ人との触れ合いが怖いのね
そっか誰でもいいんだ。さびしかったのは私の方ね)
泣きたいのはこっちだわの委員長

第弐拾参話 涙



第拾六使徒 アルミサエル 襲来

零号機で出撃するレイ。
初号機はまだ凍結
「♪猫が死んだー僕の大事にしてたー子猫がー♪」

零号機発進、地上直接迎撃位置へ
「弐号機は現在位置で待機を」
「いや発進だ」
「司令!」
「かまわん囮くらいには役に立つ」
「は、はい」
エヴァ弐号機発進準備
「のこのことまたこれに乗ってる未練がましいったらありゃしない」
「アスカ、これ倒したらリーチだぜ。終わったらカラオケ行こうぜ」
「どうでもいいわよ。もう」
「使徒と戦うだけの青春なんてまっぴらごめんだろ。死ぬなよっ!」

「レイしばらく様子を見るわよ」
「いえ来るわ」
零号機に襲いかかる使徒
「目標零号機と物理的接触」
「零号機のATフィールドは!?」
「展開中しかし使徒に侵食されています」
「使徒が積極的に一時的接触を試みているの、零号機と」
「おいおいなにが接触だ!!!!俺の綾波に触るな!!!!!」
「危険です。零号機の生態部品が犯されていきます」
「おいおい!!!!犯されてるだと!!!!!!!!!!!」
「目標さらに侵食」
「危険ね。すでに5%以上生態融合されてるわ」
「生態融合だと!!!!!!!!!!!!!綾波の粘膜に入るな!!!!!!!!!!」
「お前はちょっと黙ってろ!!!!!!!!!!!!!!!」
「黙っていられるか!親父俺を出せえええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

襲い掛かる使徒、侵食される零号機
動けず下げられる弐号機

使徒に侵食されるレイ
「誰?私。エヴァの中の私。いえ私以外の誰かを感じる。あなた誰。使徒。私達が使徒と呼んでいる人」
「私と一つにならない?」
「いいえ私は私。あなたじゃないわ」
「そう、でもダメもう遅いわ。わたしの心をあなたにも分けてあげる
この気持ちあなたにも分けてあげる。痛いでしょ?ほら心が痛いでしょ?」
「痛い。いえ違うわ。さびしい・・・そうさびしいのね」
「さびしい?わからないわ」
「一人がイヤなんでしょう、私たちはたくさんいるのに。一人でいるのがイヤなんでしょう。それをさびしいと言うの」
「それはあなたの心よ。悲しみに満ち満ちているあなた自身の心よ」
「いいえ悲しみだけじゃないわ。愛し合う喜び、碇くんがいるもの・・・碇くんのためだったら
どんな恥ずかしい事も辛いことも耐えられる・・・・幸せになるの」
体中侵食される綾波、零れ落ちる雫
「これが涙。泣いてるのは私・・・」

「初号機の凍結を現時点を持って解除 直ちに出撃させろ」
「任せておけええええええええ綾波今行くぞおおおおおお」
「碇君!」
「待ってろ綾波!!!!!!!今そっちへ行くからな!!!!」
「何よ・・・アタシの時は来てくれなかったくせに」
「シンジくんプログナイフで応戦して!!!!!!!!」
初号機、使徒を掴む
「うなぎの要領でと」
使徒、初号機への侵食開始
零号機と生態融合した使徒、レイの形を模して初号機に襲い掛かる。
「おおお綾波!愛してるぜ!」
無邪気に抱きしめようとする初号機
「今助けてあげるからね」
「これが私の心・・・・碇くんと一緒になりたい・・・だめっ」
「ATフィールド反転!一気に侵食されます!!!!!!!!!!!!!」
「使徒を押さえ込むつもり!」
使徒を飲み込む零号機
「フィールド限界これ以上は核が維持できません!!!!!」
「レイ!!!!!機体は捨てて逃げて!!!!」 
「早く逃げろ綾波!!!!!!!」
「だめ。私がいなくなったらATフィールドは消えてしまう・・・・だからだめ!!!!!」
「レイ、死ぬ気っ」
「綾波!!!!!!!」
「アナタと一緒にいられてよかった・・・生きて、碇くん・・・・大好き」
「核が潰れます臨界突破!!!!!!!!」
レイは振り向く、彼の笑顔、眩い光を受け入れる
「大好き」

零号機爆発
使徒、撃破

「目標・・・消失」
「現時刻をもって作戦を終了します・・・第一種警戒態勢へ移行」
「了解、状況イエローへ速やかに移行」
「零号機は!」
「エントリープラグの射出は確認されていません」
「生存者の救出急いで」
「もしいたらの話ね」

「アスカは今ごろいやらしい同居人だって軽蔑してるね、きっと」
「情欲に溺れてる方が人間としてリアルよ。少しは欺けるわ」
「諜報部を?それとも親父やアスカやリツコさんを、それとも俺?」
「イヤ自分を」
「他人をだろ、お前、他の人に興味ないじゃん。そのクセさびしがる・・・」
「タバコ、まだ吸ってたのね」
「こういう事の後にしか吸わないんだ。だから知ってるのはミサトだけだよ」
「それは光栄、と言いたいけどどうだか・・・・」
「出ないんだ、涙。悲しいと思ってるのに出ないんだよ、涙が・・・何かしてないと
胸が壊れそう・・・誰かを憎みたいけど・・・誰も憎めないんだ」
「そっか誰でもいいんだ・・・・さみしかったのは私の方ね」
「幸せになるんだ・・・みんなで・・・必ず生き残って・・・なのに・・・ぅぅ綾波」
ミサトに覆い被さるシンジ
「・・・・綾波の匂い、ぬくもりがまだ俺の体に残ってる。ミサトにうつしていいか」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「イヤかい」
「・・・・・・・うつして」

電話が鳴る
「はいもしもしなんですって!!!!!!!シンジくん!」

病院に向うシンジ
「綾波!!!!!!!!!!!!!!!!!」
包帯姿の痛々しいレイを抱きしめ人目もはばからずキス攻め
「バカバカバカバカ!!!ダメじゃないか!!俺どんなに悲しかったか・・・・ん?」
腕の中に包んだレイの体に違和感を感じるシンジ
「なにが」
「なにがって・・・・俺を助けるために」
「そうあなたを助けたの」
「覚えてない?」
「いえ知らないの」
「お前は・・・誰だ?記憶喪失ではないと聞いたが・・・」
「たぶん私は3人目だと思うから」
「女はキスと処女喪失で生まれ変わる・・・・いやいやいや世迷言だ!
とりあえず家まで送るよ。今日はゆっくり休むんだよ。俺のかわいい綾波・・・」

次の日、綾波の家
「これはなに」
「これは包帯だよ」
「これはなに」
「これはメガネだよ」
「これはなに」
「これはキスだよ」
「これがキス。初めてしたはずなのに初めてじゃないような気がする。私泣いてるの。なぜ泣いてるの」
「綾波・・・・・・・・」
レイを抱きしめるシンジ。携帯が鳴る
「はいもしもし」
「そのまま聞いて。あなたのガードを解いたわ。いまなら外に出られるはずなんだけど・・・・・・・・・
なんで家にいないの?今どこにいるの?どうして出られたの?」
「愛の力さ。リツコさん」

ゲートを抜けようとするリツコ。背中に銃をつきつけられる
「ムダよ。私のパスがないとね」
「そう、加持くんの仕業ね」
「ここの秘密この眼で見せてもらうわよ」
「いいわ。ただしこの子も一緒にね」
「ミサトさん・・・・」
「いいわ」

エレベーターを降りる3人
ぎゅっと手を繋いでいる2人にイライラをつのらせるリツコ
{人類進化研究所 3号分室}
「まるで綾波の部屋だ」
「綾波レイの部屋よ。彼女の生まれ育ったところ。レイの深層心理を構成する光と水は
ここのイメージが強く残っているのね」
「赤木博士、私はコレを見にきたわけじゃないのよ」
「わかってるわ。ミサト」

大きな恐竜のような骨の残骸
「エヴァ・・・」
「最初のね。失敗作よ。10年前に破棄されたわ」
「エヴァの墓場・・・」
「ただのゴミ捨て場よ」
「燃えるゴミなのか?」
「あなたのお母さんが消えた所でもあるわ。覚えてないかもしれないけど、あなたも見ていたはずなのよ
お母さんが消える瞬間を」
「俺に母さんなんかいない。もしいたら俺を残して死ぬものか」

ネルフ本部 大深度地下施設中央部 セントラルドグマ
「これがダミープラグの元だというの!」
「真実を見せてあげるわ」
明かりが灯る。周りを囲む水槽。その中に泳ぐたくさんの・・・
「うおっ綾波・・・・・」
「まさかエヴァのダミープラグは!」
「そうダミーシステムの核となるもの。その生産工場よ」
「これが・・熱湯コマーシャル・・・・・・・いやいやいやいやいや」
「ここにあるのはダミーそしてレイのためのただのパーツに過ぎないわ。人は神様を拾ったので喜んで手に入れ
ようとした。だからバチが当たった。それが15年前。せっかく拾った神様も消えてしまったわ。でも今度は神様を
自分たちで復活させようとしたの。それがアダム。そしてアダムから神様に似せて人間を作った。それがエヴァ」

「ヒト?人間なんですか!」
「そう人間なのよ。本来魂のないエヴァにはヒトの魂を宿らせてあるもの。みんなサルベージされたものなの
魂の入った容れ物はレイ、一人だけなの。あの子にしか魂は生まれなかったのよ。ここに並ぶレイと同じもの
には魂がない。ただの容れ物なの。だから壊すの。憎いから・・・」
リツコはボタンを押す。踊るように崩れてゆく泳ぐ者たち。
「あんた何やってんのかわかってんの!!!!」
「ええわかっているわ、破壊よ。人じゃないもの。人のカタチをしたものなの。でもそんなものにすら私は
負けた!勝てなかったのよ。あの人のことを考えるだけでどんな、どんな陵辱にだって耐えられたわ。 
私の体なんてどうでもいいのよ!でも、でもあの人・・・あの人・・・わかっていたの。バカなのよ私は。
親子揃っておおバカ者だわ!・・・・私を殺したいのならそうして。いえ、そうしてくれると嬉しい」
「それこそバカよ、あなたは」
泣き崩れるリツコ。
「よしよし辛かったんだね」
抱きしめて慰めてやるシンジ
「エヴァにとりつかれた人の悲劇・・・・・・・・私も、同じか」
ちょっと羨ましそうに見ながら呟くミサト
「違うよミサト。誰も悪くなんかないんだよ」
シンジの背中にしがみつき泣き出すミサト
2人に抱きつかれながらシンジは天を仰ぎ大きく深呼吸する
そこにはまだ綾波の匂いがまだ残っているような気がしたから

つづく

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